2019年 5月

■活動レポート
「薬業界について熱く語ろう会」(有志による討論会)
地域で信頼される薬局づくりの第一歩とは?
をテーマに集中的に議論

2019年4月28日、「薬業界について熱く語ろう会」が東京・八重洲の会議室で開催された。「語ろう会」は次世代薬局研究会2025の吉村磯孝理事が任意に呼びかけ、所属や肩書に捉われることなく、自由に意見交換する目的で開催されたもの。当日は、薬局関係者のほか、大学教員、マスコミも交えて 18人が参集し、熱い議論が戦わされた。
「地域に信頼される薬局づくり、その第一歩を踏み出すために何すべきか」をテーマに2班に分かれたグループ討論(SGD)とまとめ発表、さらに参会者による意見表明など、薬局業界を改革すべく4時間にわたって膝を突き合わせた議論が行われた。

●信頼を得る第一歩は意識改革、誰がどのように取り組むのか
まず、次世代薬局研究会2025の藤田道男代表から、薬局業界の現状と課題について集約した問題提起があり、特に改革の課題として大きく「調剤業務の深化」「健康管理機能」「サービス業としての薬局経営」の3つを挙げた。
SGDのテーマは、「地域から信頼される薬局になるための第一歩とは?」。課題山積と分かっていても、地域の信頼獲得の第一歩として「何を成すべきか」を提示するのはそう簡単ではない。
SGDで多くの意見を占めたのは「薬局に関わる人の意識改革」で、計らずも同様の結果である。しかし、方法論的には優先順位が多少異なる。B班は経営者のリーダーシップの発揮、率先垂範(行動)によって周り(社員全員)を納得させ巻き込んでいく。経営者が変化しないと薬剤師も変わらないという観点に立って、コンセンサスを得ていく努力をするという経営者自身の意識改革が出発点になることを掲げた(発表資料はこちら)。
一方、A班が問題提起したのは患者・地域生活者が抱く「信頼」とは何かを捉えること。信頼は「私のことをわかってくれている」と患者・地域生活者から思われることから生まれる。薬剤師を“管制官”にたとえて、飛行機(患者・地域生活者)を安全に運行させる役割を持つ管制官は、情報収集と解析、また情報提供と情報発信を行う。パイロット(医師)と常に交信を保ち、適切な指示を出す。そうした前面に出ない管制官の果たしている役割になぞらえ、薬剤師の地道な活動の継続性が「信頼」を生むベースになるのではないかとした(発表資料はこちら)。

●マインドの養成につながるための地域一丸の教育・研修を
また、マニフェスト(経営者、社員、患者・地域生活者間の約束事)の作成は、両班とも第一歩を踏み出す有力な手段として位置づけ、経営者も薬剤師も事務スタッフも全員が関わり、根底にあるマインドを共有し、コンセンサスを得た組織ぐるみの行動につながるものととらえた。
さらに、組織の原点は「我々の顧客は地域住民である」との立場、あるいは「いかに患者の囲い込みを行うか」といった他機関との差別化、生き残りのためのマーケティングの発想やマインドの養成のほか、世の中をよく知る、経営指標・数値目標の設定などといった社会環境への対応の重要性も提起された。
そのほか、① 患者への寄り添い方を考える、②薬剤師の専門性に関して当然やるべきことをやる(薬剤師の責務)、② 対物から対人のために業務効率化や非薬剤師業務の見直し(投薬時間を増やす)、③薬局内外での教育・研修の充実、④ 薬剤師のシンクタンクの必要性(高次元の情報収集と国民への提供)、などが薬局業界改革のために提起された。なかでも、③ の教育・研修は、薬剤師が国・地域生活者から収入を得ているという意識を持って仕事に取り組めるような教育がポイントになるほか、専門知識やエビデンスの共有を図る意味でも、地域の薬局が一丸となった教育・研修の必要性が強調された。
会場を移しての懇親会では和気あいあいとした雰囲気の中で、懇親を深め、次回以降の開催も申し合わせて散会した。

■部会活動レポート「若手薬剤師部会の活動」

若手薬剤師がSGDを重ねてあるべき薬局・薬剤師像を探り、薬局現場の意識改革と行動変容を促す

次代を担う若手薬剤師を中心に、あるべき今後の薬局・薬剤師像を探ることを目的に2018年11月に立ち上げ、4回にわたってグループ討論(SGD)を重ねてきた若手薬剤師部会の活動のあらましについて紹介する。

 

●グループ討論を通じて、あるべき姿を明確化

■第1回若手薬剤師部会(2018年11月実施、グループ3班)
〔SGDテーマ〕:① 「今の薬剤師 未来の薬剤師」 ②「◯ 年後になりたい薬剤師」
第1回は2つをテーマにSGDを実施。①では、「処方箋を持つ人だけ、薬を渡すだけ」「調剤に時間をとられて患者と向き合えない」「(業務の)評価があいまい」「かかりつけが取れない」など、薬剤師が現場で抱える悩みや課題を明らかにし、達成方法や具現化の方法は問わず、その解消された姿を未来の薬剤師として描いた。例えば「50%が電子処方箋(業務効率化が図られた薬局)」「個別対応をしている」「調剤にとらわれない」「処方箋がなくても入れる」「服薬支援にオンした形の服薬指導」「受診前の相談窓口(ファーストアクセス)」などだ。
また、②では、目指す薬剤師像を「責任」「信頼」「思いやり」「人助け」の4項目を共通認識として打ち出した班、「カッコイイ薬剤師」に集約して掲げた班(図1)など。第1回では、あるべき薬局・薬剤師像を簡潔にキーフレーズで明確にしたことの意義が大きかった。

図1

■第2回部会(2018年12月実施、グループ4班+オンライン参加)
〔SGDテーマ〕:① あなたは将来的にどのような薬局・薬剤師になりたいか ② ①の目標に対して現状はどのような状況か ③ 障害因子は何か ④ 目標に向かってのアクションプラン
第2回では薬学生が加わり、第1回よりも踏み込んだSGDが行われた。特に目指すべき薬局・薬剤師像が具現化できない理由や、アクションプランを提示したことが注目された。阻害因子では「調剤業務が忙しい」「人手不足」「知識・経験不足」「患者目線になっていない」などが挙げられ、アクションプランでは「局外に出てコミュニティ拡大、地域イベントへの参加」「やる気のある人が活躍できる環境づくり」「患者から逃げない ピンチをチャンスに」「機械でできることは機械に任せ、“人”に時間を割く」などが提示された。
質疑応答の中で、「忙しいから改善の一歩が踏み出せない」ではなく、「忙しくてもやるべきことをやる(対人業務へのシフト)」という薬剤師マインドの大切さや行動が求められる状況が到来していることが指摘された。そのための業務の機械化・AI化であり、また、対人業務は「どれだけ患者を助けられるか(役立つか)」に移行していき、経営者も現場が楽しく仕事ができる環境づくりが重要な役割になることも指摘された。

●行動変容の検証と共有化を目指して委員会活動を展開

■第3回部会(2019年2月実施 グループ4班+オンライン参加)
〔SGDテーマ〕:「少子・超高齢社会における薬局・薬剤師の責務について」
第3回は、薬局・薬剤師の法・制度上の位置づけ、時代の変化の中で求められる役割などの研修の後、少子・超高齢社会における責務についてSGDが行われた。高齢者の状態に着目して「地域包括ケアにおける健康サポートの拠点」や「在宅の重要性」、「地域活動の充実)」などを挙げた班、「コミュニケーション能力を高めてオールラウンダーな薬剤師」を掲げた班、社会保障費の収支改善への寄与を目標にして取組課題を提示した班。そのほか、マンダラチャート(目標達成のための課題設定手法)を用いて取組課題の全体像をキーワードで図示してみせた班もあった(図2)。
また、あるべき薬局・薬剤師像の現場へ落とし込みやその方策を共有するために、「お薬手帳持参促進委員会」「服薬期間中フォロー委員会」「マニフェスト作成委員会」など、各種委員会設立の意向が表明され、部会メンバーの委員会への立候補が行われた。

図2

■第4回部会(2019年4月実施、グループ6班+オンライン参加)
〔SGDテーマ〕:「かかりつけ薬局機能とは何か」
第4回は、第3回で設立された委員会担当者による活動のポイントと、「現場での実践」→「委員会での成果発表・情報共有」→「現場の実践」という活動を実践することで、患者・地域生活者に認知される(アウトカムを出す)ことの重要性が確認された。

SGDは、かかりつけ機能を重要5項目に絞って提示した。「一元管理」「24時間対応」「患者・地域住民の情報把握」「予防・未病への対応」「地域連携」が主要な機能として挙げられたが、これらに加えて、「フットワーク」や「つながり、気づき」、「提案」の機能を挙げた班もあった。