2013年 2月

 最近、医薬分業に対する批判的な意見が医療界のみならずマスコミにも報道されるようになっています。このままでは次回調剤報酬改定への影響が懸念されます。
 批判内容には大別して2つの流れがあります。ひとつは増え続ける薬局調剤医療費が医療費全体を押し上げているとの批判。2点目は薬局の対応、すなわち院内投薬を院外に移しただけという分業のメリットが見えないことに対する批判です。
 1月31日の朝日新聞13面のコラム「経済気象台」では「調剤薬局栄えて、医療保険制度崩壊す」という趣旨で調剤薬局医療費への批判が掲載されました。
 分業率が上昇した結果、薬局調剤医療費が上昇し、医療費高騰の原因になっているとの論旨は、他にも見られる分業批判と同様です。
 しかし、薬局調剤医療費は院内投薬分が院外に置き換わった薬剤費が大部分であり、仮にこれがすべて院内投薬であったとすれば、医科の医療費に跳ね返ることになります。薬局調剤医療費の内訳は2010年度で73.3%が薬剤費です。薬剤費は薬物治療の高度化、長期処方の導入などによって増加しています。
これらの要因を無視して、医療費高騰の原因があたかも薬局調剤医療費にあるかのような論旨を受け入れることはできません。

〇分業のメリットが見えにくい
 「2010年度の調剤医療費は約6兆円。そのうち技術料が約1兆5000億円を占めている。それだけの医療費のシェアを持つ以上、それに伴う保険薬局の責任も増してくることを認識して頂きたい。今以上に保険料や税の形で国民に負担を頂くためには制度自らが効率化の努力を行う必要があることを自覚して頂きたい」―。2011年10月、厚生労働省の社会保障担当参事官室長・武田俊彦氏(当時)が日本薬局学会総会の特別講演で語った内容です。武田氏の発言は、「社会保障・税の一体改革」を推進する厚労省の立場から、公的資金で賄われている医薬分業とそれを担う薬局・薬剤師の在り方を根本から問い直したものと受け止められます。

 この他にも、他の厚生官僚から「調剤業務に特化している薬局が流れ作業的に調剤をこなすだけでは物足りない。利用者は自分の健康状態が改善できることを期待して薬局に足を運んでいる。そのことに対して、最適な答えを提示できていると言えるのか」「本来の機能を果たしていないような薬局が目立つ。もう少し、薬局のあるべき姿を見つめ直すべき。本当に患者さんのため、地道に頑張っている薬局を評価するような調剤報酬の在り方があっていい」―等々の意見が公の場で述べられています。

 これらの意見は、医薬分業そのものを批判しているのではなく、分業によって薬剤師が関与することのメリットが見えて来ないことを指摘したものと受け止めることができます。
 今日、薬剤師の調剤業務の概念が大きく広がってきました。単に処方せん通り調剤するのではなく、薬歴、お薬手帳、インタビュー等を通じて体質やアレルギー歴、服薬実態、OTC医薬品やサプリメントも含めた服用実態を把握し、処方内容に照らし合わせて適切かどうかを判断するものです。
 分業に対して懐疑的な意見を持つ関係者は少なくありません。他の医療者との緊密な連携のもと、ひとり一人の患者に対して本来業務を遂行することはもちろん、安全性・有効性確保、医療の効率化のための取り組みを知らしめる必要があります。そのためには対人業務、対物業務の「見える化」を図ることが重要です。調剤業務に限らず、あらゆる薬局業務を「見える化」することでセルフメディケーションや日常健康管理にも貢献する薬局の姿が見えてくるでしょう。

(次世代薬局研究会2025代表・藤田道男)