2013年 1月

 日本OTC医薬品協会の新年記者会見が1月23日、都内で開かれ、吉野俊昭会長、上原明副会長らがそれぞれ新年度の抱負と展望を語った。OTC医薬品協会の事業はセルフメディケーションの普及・促進だが、その大きなカギを握っているのがスイッチ化推進。中でも生活習慣病対応のスイッチ化は医療費対策からも大きな期待を集めている。高脂血症治療薬「エパデール」が注目されるゆえんである。生活習慣病対応のスイッチ化は日医が当初から反対していたが、最終的に多数決という異例の形で決定した経緯がある。それだけに販売側が的確な指導・助言のもとに対応する必要があり、OTC医薬品協会は、日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会と協力して万全の態勢を整える決意を示す。

 ただ、改正薬事法施行後の販売状況でも法の順守に不備があることが再三指摘されている。医師会は表向き「生活習慣病の患者が自己判断で医薬品を使用することは非常に危険」との姿勢だが、販売側に全幅の信頼がおけないことも背景にはあるようだ。ネット販売が解禁になれば、医師会の懸念はさらに増大しよう。
セルフメディケーション推進のカギは、販売側の特に薬剤師が握っていると言っても過言ではない。エパデールを活用することで、受診していない潜在患者を掘り起し、発症を防ぐ、場合によっては受診勧奨するなど、セルフメディケーション分野での医薬連携を築くきっかけとして欲しいものだ。
(藤田)

東日本大震災でその効用が再確認されたお薬手帳―。手書きの処方せんをもとにお薬手帳に記載することで、ボランティアの薬剤師が前回処方を確認して投薬した例などが報告され、改めてその効用が認識されました。

〇携帯電話やPCから服薬情報を閲覧
 さて、紙ベースのお薬手帳から電子お薬手帳への移行の動きが始まっています。政府のIT戦略本部の「どこでもMY病院構想」では、個人が自らの医療・健康情報を医療機関や薬局から受け取り、それを自らが電子的に管理・活用することを目的に実証実験が行われています。
 具体的には、医療機関等から2次元バーコード、ICカード搭載携帯電話、ICカード、オンラインを経由して提供された自己の医療・健康情報を電子的に蓄積・管理し、タブレッに蓄積・管理し、タブレット型携帯端末やパソコン等で閲覧が可能になるものです。要するに医療・健康情報を医療関係者、患者が共有し、医療の効率化・合理化を図ると同時に、患者が主体的に健康・医療情報を把握することで治療に関する協働意識が高まることが期待されます。
 そのさきがけとして政府が2013年度からの導入をめざす「電子版お薬手帳」について石川県では薬局が参加してパイロット事業が行われています。また、大阪府では2011年11月に厚生労働省に提出した「地域医療再生計画『三次医療圏』」案の中に、薬務対策事業として携帯電話を活用した服薬情報管理システムの構築を盛り込みました。2013年にも稼働させる予定です。

〇携帯性に優れ、薬局・患者間で情報共有
 医療機関・薬局等と患者との情報の受け渡し方法は、2つのタイプに分けられます。1つは、お薬手帳のシールを渡すように、電子データそのものを患者に渡すというもので、レセコンに入力されている情報の一部をQRコードに変換し、それを患者の携帯電話のカメラ機能で読み込んでもらうという仕組みです。もう1つは、薬局がレセプトコンピュータから別のサーバーに情報をコピーしておき、患者が携帯電話やパソコンなどを使ってそのサーバーにアクセスするものです。この方式では、情報が一元的に管理でき、ネットワーク上で薬局と患者がつながる点で、情報活用の幅が広がります。
 電子お薬手帳のメリットは何と言っても携帯性に優れていることです。紙ベースでは手帳どうしても忘れてしまうことがありますが、携帯電話やスマートフォンは財布を持ち歩くのと同様に、現代人の必需品になっています。また情報量が圧倒的に多いこと、患者との双方向のコミュニケーションが可能になることなどかかりつけ薬局としてのメリットも享受できます。
 民間レベルでも独自に開発・試行している薬局が次々に現れ始めました。都内での薬局が導入しているのは、次世代クラウド健康サービス。同社のサーバーにアクセスし情報を閲覧する仕組みです。特徴はレセコンと連動していること。レセコンで管理されている服薬情報をクラウド上でセキュアに管理することにより、提携している薬局間での患者情報が共有できるほか、患者も携帯電話やスマートフォン、パソコンから薬歴の閲覧や服薬や健康支援情報を無料で受け取ることができます。
 具体的には調剤日、医療機関名、医師名、薬剤名、用法・用量などのお薬手帳機能のほか、家族管理、飲み忘れ防止機能、メモ機能などが整備されています。薬剤名をクリックすれば使用上の注意、作用・効果、副作用、保管方法など詳細な情報も引き出せます。
 双方向であり、服薬指導の際に言い忘れたことを伝えたり、患者が薬局で相談できなかったこと、聞きづらかったことなどをメールで問い合わせすることもできます。
 現在のところ、電子お薬手帳は様々なタイプがあり、それぞれに互換性があるわけではありません。しかし、政府は紙に変わる電子お薬手帳の普及を図るため、共通のソフトを開発する意向です。また現状では調剤報酬上で電子お薬手帳を想定していないため電子お薬手帳のみでは算定できませんが、この点についても次回改定までには措置することになるでしょう。

(次世代薬局研究会2025・代表 藤田道男)