速に進む調剤レセプトの直接審査・支払い

〇14大手健保組合と全国約600件の薬局が合意
 保険者による調剤レセプトの直接審査・支払が急速に進んでいる。直接審査・支払を実施する健保組合は2011年7月現在で、日本アイ・ビー・エム、日本電気、トヨタ自動車、トヨタ販売、日産自動車、三菱電機、東芝など14組合となっている(表)。一方、健保組合と同意する薬局も、日本調剤、スギ薬局など調剤専門チェーン薬局を中心に全国で571軒に達している。
 直接審査・支払は、支払基金・国保連合会の審査支払機関を通さず、薬局が直接健保組合にレセプト請求し、審査を受けて支払を受ける仕組み(図)。健保組合は審査支払機関の審査代行手数料が効率化でき、薬局は調剤レセプトの支払の前倒しになるというメリットがある。すでに健保組合に対して2005年3月の厚労省保険局長通知(注1)によって、特定の薬局と合意した場合には、健康保険組合は直接審査・支払を行うことができることになった。ただし、これには「事前同意を得た医療機関が発行する処方せん」に限ることなどいくつかの要件があって、薬局側の参画の障壁になっていた。
 しかし、2007年1月の保険局長通知(注2)で医療機関の同意要件が撤廃されたほか、健保組合が医科レセプトと調剤レセプトを突合点検した結果、内容に疑義が生じた場合には、1)支払基金に対し審査に関する意見を依頼する、2)支払基金は審査委員会で審査し、健保組合に意見を提出する、3)医療機関の減額査定を行う際には健保組合が査定分の合意を得て処理をする、などの処理ルールをつくった。

〇突合点検による減額査定の処理はうまくいくのか
 これらの結果、調剤レセプトの直接審査・支払の動きに拍車がかかることになった。2008年10月のトヨタ自動車および日本電気の健保組合を皮切りに、参加する健保組合は増え、最近ではデンソーや中国電力が加わって14組合になっている。今後も参加する健保組合がさらに増えることが予想され、それに対応して合意・契約する薬局も増加する模様だ。たとえば、中国電力など地域性の高い健保組合が参加すると、地元で合意する薬局が一挙に増えるといった動きをみせている。
 これまでの合意薬局は必ずしも調剤専門チェーンに限定しているわけではない。減額査定の場合には、支払基金が間に入るにせよ、医療機関とトラブルが発生し、処理が必ずしもスムーズに行くとは限らない。また、参加するとなると、相手が健保組合なので後発品への対応力など一定レベルも問われそう。なお、医療機関と健保組合の直接審査・支払にゴーサインが出たのは薬局よりも早い2002年12月の保険局長通知(注3)であった。しかし、全国で名乗りを挙げる医療機関はないようだ。
注1:「健康保険組合における調剤報酬の審査及び支払に関する事務の取扱いについて」(平成17年3月30日 保発第0330005号)、注2:「健康保険組合における調剤報酬の審査及び支払に関する事務の取扱いについて」(平成19年1月10日 保発第0110001号)、注3:「健康保険組合における診療報酬の審査及び支払に関する事務の取扱いについて」(平成14年12月25日 保発1225001号)

〇直接審査・支払に参加する健保組合(2011年7月1日現在)
 ・アイシン健保組合、コニカミノルタ健保組合、小松製作所健保組合、中国電力健保組合、デンソー健保組合、東芝健保組合、トヨタ自動車健保組合、トヨタ販売連合健保組合、日産自動車健保組合、日本アイ・ビー・エム健保組合、日本電気健保組合、日本ユニシス健保組合、三菱電機健保組合、リコー三愛グループ健保組合

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