第33回セミナー報告

第33回セミナー報告

日時:2017年3月18日(土)

会場:連合会館

 

【第1部】調査レポート報告

テーマ:「地域包括ケアに向けたかかりつけ薬剤師・薬局の現状と今後の展望」

演者:次世代薬局研究会2025(担当:宮本光雄)

 

【要旨】

当会が作成に関わった調査レポート『地域包括ケアに向けたかかりつけ薬剤師・薬局の現状と今後の展望』(株式会社シード・プランニング発行)のうち、「薬剤師・薬局の未来像に関するアンケート調査」(2016年9月実施、全国の薬剤師111人が回答)の結果から、薬局・薬剤師が2016年度調剤報酬改定で新設されたかかりつけ薬剤師指導料に対して、どのような方針で臨んでいるかについて紹介する。

「施設基準を届出し、患者の同意を働きかけ、積極的に推進」と回答した薬剤師は25人(全体の22.5%)、「施設基準を届出し、患者の同意の働きかけを行うが、算定しない」が20人(同18.0%)、「当面は届出も算定も行わない」が41人(36.9%)、「現在、届出を検討中」が11人(9.9%)との結果である。

当面、届出も算定も行わないが4割近くに達するのは、施設基準のクリアが難しいなどの事情が予想される。また、届出を行っても算定しない方針のところが2割弱存在するのは、新設のかかりつけ薬剤師指導料に対する患者の質問等への対応が難しいことや、患者への配慮が働いているとも考えられる。

さらに「勤め先の方針はわからない」とする薬剤師が11人(9.9%)だ。薬局企業トップや所属薬剤師が時代の大きな変化の認識を共有できていない姿が垣間見られる結果といえようか。同指導料を知らなかった人も1人いた。

 

【第2部】

テーマ:2018年度調剤報酬改定に向けて―薬局・薬剤師の現状と課題

講師:日本薬剤師会相談役・漆畑稔氏

【要旨】

地域医療連携推進法人

2018年度診療報酬・介護報酬同時改定は2025年度の地域包括ケアシステム確立に向けた基盤整備と位置付けられる。

地域包括ケアシステムでは職種連携・施設連携と情報共有化のためのICTがポイントとなるが、薬局においては理解不足、対応不足のまま、2025年を迎える恐れがある。

地域包括ケアシステムを円滑に展開する上でポイントとなるのが地域包括支援センターと地域医療連携推進法人である。地域医療連携推進法人は医療機関相互の機能の分担及び業務の連携を推進し、地域医療構想を達成するための選択肢として創設されたもので、この4月からスタートする。

複数の医療法人とその他の非営利法人で構成され、統一的な連携推進方針の決定、病床再編、患者情報の一元化、キャリアパスの構築、医師・看護師の共同研修、医療機器等の共同利用、病院開設、資金貸付等を行う。関連事業を行う株式会社を保有でき、医薬品共同購入や薬局経営も可能だ。薬局が地域包括ケアシステムから阻害される可能もあり、今から十分な対応が必要になる。

偽造薬問題

偽造薬は国際的にも大きな問題であり、世界に出回っている医薬品の30%が偽造薬とも言われている。これまで医療用医薬品の偽造薬は日本では出回っていなかったが、これは添付文書が日本語表記であり、容易に流通できなかったことがある。

今回の事件では、薬局・薬剤師が偽薬を調剤したことは重大である。外箱、添付文書のない医薬品は違法であり、それを仕入れ、調剤した責任は大きい。

また、問題発覚後の薬局と薬剤師の反応が鈍いとの指摘があり、医薬分業と調剤報酬への悪影響は必至である。

転換期の薬局

日本の分業は約40年の歴史があるが、現在大きな転換期に差し掛かっている。分業の草分け的な存在であった水野薬局(東京)が日本調剤に売却したことはある意味、象徴的である。

現在の外来調剤は実質的に伸びが止まる時期に差し掛かっている。人口減の中で受取率や処方箋総枚数減が減少する方向にあり、薬局は早急な対策が必要だ。一方で、ドラッグストアの調剤は伸びており、ポイント付与や待ち時間での買い物、長時間営業などが奏功しているようだ。

18年度同時改定の見通し

同時改定に向けては、経済財政諮問会議、規制改革会議、与党の厚労部会、厚労委員会の特命委員会でも議論されており、薬価、調剤報酬、医薬分業などが俎上に上がっている。社会保障審議会や中医協での審議も始まるが、調剤に関してはかなり厳しい意見もあり、今からデータに基づく提案や反論の準備が必要だ。

基本料については16年改定で枚数や集中率による区分が拡大したが、この分類の見直しが行われる見通しだ。また基本料の在り方そのものも議論されるのではないか。調剤料については日数倍数制の扱いが焦点になる。分割調剤の評価、加算の見直しも予定されているようだ。かかりつけ薬剤師指導料については施設基準の届け出状況、算定状況などを踏まえた検証が行われ、要件の見直しも議論されるだろう。

また、施設基準の届け出や算定状況を見ると、大手調剤薬局が積極的に取り組んでいる半面、中小薬局が低調であり、指導料を新設した狙いとは逆になっている。これについては問題意識を持たれる可能性がある。改定後に関心が薄れていることも気がかりである。一方で届出をしているが算定しない薬局も散見されるが、これでは実績として評価されないことになるので正当な業務についてはきちんと算定することが重要だ。

薬価については大幅な改革が行われる。改定頻度の見直しでは通常改定年以外の改定では薬価とのかい離率が大きい品目や市場拡大再算定、効能追加再算定品目などが対象になる。算定ルールの見直しでは新薬、既収載品、長期収載品、後発医薬品それぞれに見直される。